ハチャトゥリアン楽団のJazzコラム
第8回「歌詞研究 Vol.1 “Just a Closer Walk With Thee”」
スポーツの記事を2つ書きましたので、今回は音楽について書きたいと思います。
ニューオリンズ・ジャズの重要な要素の一つとして、「歌詞」があります。
歌詞の意味や世界観を知ることで、ニューオリンズ・ジャズにもっと興味がでたり、楽しめたりすると思うので、
ニューオリンズ・ジャズにおいてよく演奏される曲の歌詞をご紹介したいと思います。
“Just a Closer Walk With Thee”
作詞作曲者 不詳
日本語訳 丸山朝光
Grant it, Jesus, is my plea
Daily walking close to Thee,
Let it be, dear Lord, let it be.
I am weak but Thou art strong,
Jesus keep me from all wrong,
I’ll be satisfied as long,
As I walk let me walk close to Thee.
Thru this world of toil and snares,
If I falter, Lord, who cares?
Who with me my burden shares?
None but Thee dear Lord, none but Thee.
When my feeble life is o’er,
Time for me will be no more,
Guide me gently, safely o’er,
To Thy kingdom shore, to Thy shore.
これは、おそらく20世紀初頭に作られた黒人霊歌で、ニューオリンズ・ジャズ、ディキシーランド・ジャズにおいてはもちろん、Ella Fitzgerald, The Blind Boys of AlabamaやElvis Presleyなどにも演奏され、広く、長く愛されています。
黒人霊歌とは、奴隷としてアメリカに連れてこられた黒人達にキリスト教が広まり、もともとキリスト教にて歌われていた賛美歌、と彼等独特の音楽が融合したもので、ニューオリンズではお葬式の時などにも演奏されます。
この”Just a Closer Walk With Thee”の歌詞からも見て取れる通り、彼らは「この世」での苦痛から解放されるという意味での、「死」に対し前向きで、「死」んでしまうことはもちろん悲しいけれども、仲間や家族が死んでしまうことは、ある意味喜ばしいことなんです。
なので、上記のジャズ葬においても、棺桶を埋葬しにいく行きの道は、”Just a Closer Walk With Thee”などの、荘厳な曲を演奏しながらゆっくりとパレードしながら故人を偲び、埋葬後の帰り道は明るく、”I’ll Be Glad When Your Dead, Rascal You!”「お前が死んじまってくれて、嬉しいぜ!」などと歌い、演奏します。
ちなみに、そのジャズ葬”Jazz Funeral”において、棺桶を運ぶ1列目が家族や近親者等の列で、2列目がマーチング・バンド等のミュージシャンで、その2列目のことを”Second Line”「セカンド・ライン」と呼びます。
まるやま。